さて、副葬品の内、特に注目されるのは三角縁四神四獣鏡の銘文が、日本古代の謎とされる弥馬台国と関係が深いことにある。中国の歴史書である『三国志』の『魏書東夷伝』の倭人の条に弥生時代の終ころの日本のことが記されている。それによると当時、弥馬台国の女王卑弥呼が中国から銅鏡100枚などをもらっており、国々のものにそれらを分け与えるよう指示されている。この銅鏡100枚のうちの一枚がここ織部古墳から出土したものではないかとも考えられるのである。銘文中「銅出徐州 師出洛陽」が「徐州で産出した銅で、洛陽の工人が鏡を作った」と解釈でき、この条件を満たす時代は魏の時代しかありえないことが主な根拠である。また、この鏡と同じ鋳型で作った兄弟関係の鏡が複数存在し、黒塚古墳(天理)、北山古墳(向日市)、湯迫車塚古墳(岡山)などで、他の三角縁神獣鏡にも奈良県や京都府を中心に兄弟鏡の分布が知られていることから、卑弥呼が全国に配った結果ではないかとの根拠にもなっている。ただ、この鏡が、肝心の中国から一枚も出土していないことから日本製であると考える意見もある。
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